遺言書はどこに保管するのが最適か?

法務局による「自筆証書遺言保管制度の創設」により、これまで保管する場所を自宅や信頼できる方にあずけて保管してもらう。と考えていた方もいらっしゃったかもしれません。しかし、この制度を利用することにより自筆証書遺言のデメリットである「発見されない」リスクを減らすことができるようになりました。

遺言書は遺言者ご本人がお亡くなりになられてから効力が発生します。なので遺言書に書かれてある内容がそのまま実現されることがとても大切です。その大切な遺言書の保管は内容を書き上げた次に心配になるものではないでしょうか。
この記事で紹介する制度の内容を正しく理解してご自身やご家族・愛する人のために考えられるベストな選択をしていただきたいと考えています。


自筆証書遺言保管制度のメリット

  1. 自筆証書遺言の形式に適合するかについて、遺言書保管官の外形的なチェックが期待できる。
  2. 遺言書の原本保管に加え画像データ処理されて保存されます。(原本は遺言者死亡後50年保管・画像は150年保存)
  3. 原本が法務局で保存されるため遺言書の紛失や改ざん、破棄や隠匿などのおそれがありません。
  4. 相続開始後に行う家庭裁判所の検認手続きが不要です。
  5. 相続開始後に相続人による遺言書保管事実証明書及び遺言情報証明書の請求により全国どこの法務局においてもデータによる遺言書の閲覧・請求書の交付が受けられます。
  6. 相続人のうちの1人が遺言書保管所において遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けた場合、その他の相続人に対して遺言書が保管されてある旨のお知らせの通知が届きます。
  7. 遺言者による指定者通知制度
    遺言者があらかじめこの通知制度を利用する場合、その通知対象者(遺言者1名につき、3名まで指定可)を指定できます。
    そうすることで法務局の戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実が確認できたときに、❻の相続人閲覧等を待たずに,遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせが指定者に届きます。


※保管の注意事項
法務局に保管される自筆証書遺言の適合性は外形的に確認されますが、遺言書の内容は審査対象外のためその有効性を保証するものではありません。



万一、せっかく書き残した遺言書が不備などで無効となり相続手続きに使用できなかったりするリスクが考えられます。
(実際に一例ですが、財産目録に署名・押印がなく無効になったケースもあります。)

もし、少しでも遺言書作成に関心がありましたら、一度専門家に添削などご依頼されたり、より確実な遺言書をお作りになりたい方は公証人が関与して作成する公正証書遺言をご検討されてみてはいかがでしょうか。