全財産を相続人のうち1人に限定した遺言書を作りたい

    この記事でわかること

■想定する状況
ご主人が亡くなり、相続人が妻Aさんと娘Bさんのうち妻Aさんに全財産を相続させる

まえがき

【不動産や預貯金の相続手続きに必要な書類】
・遺言書がない場合
→遺産分割協議書(相続人全員の実印と印鑑証明書)


・相続人間でうまく話がつかない・できない場合
→相続手続きがまとまらない
→弁護士による遺産分割調停、審判など裁判所が関与しての手続きになります

・解決策として、遺言書の作成が肝になる
この遺言書を残しておくことで、遺言書に基づいて不動産の名義変更や銀行口座の解約手続きをスムーズに行うことができます

自筆証書遺言の法的要件

自筆証書遺言(民法968条)

遺言者がその遺言の内容の全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

■要件

①全文を自書すること
財産目録はワープロで作成できるが、この目録にはすべてのページに署名・印鑑が必ず必要です。

②日付を自書すること
作成した年月日を正確に記載します。

③氏名を自書すること
自分の名前を戸籍謄本どおりに正確に記載します。

④印鑑を押印すること
この印鑑に関して法律上は認印でもよいが、ご本人が遺言書を作成したという信憑性・証拠能力が高まるように実印を押印して、印鑑証明書を一緒につけたほうがよりいいです。

自筆証書遺言の書き方

具体的な遺言書の書き方

                      遺言書

第一条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の妻〇〇〇〇(昭和〇〇年●月●日生)に相続させる。




令和○年●月●日

   長崎県佐世保市〇〇町〇〇番地

   遺言者 〇〇〇〇 印

自筆証書遺言の書き方の注意点

  • 民法上の要件の書き方を間違えてせっかく作成したものが遺言書としての効力がなく無効になり相続手続きに使えないといったケースがあります。
  • 相続させる・遺贈するなどの文言が不明確の場合や具体的に対象の不動産が特定できなかったり、預貯金の金額が間違っていたりします。
  • 書き間違った場合の訂正や内容文を追加したいときは、その場所が分かるように示した上で、訂正または追加した旨を付記して署名し、訂正または追加した箇所に押印します。
  • 遺言書を作成するときに一番大切な点は、間違いがないようにしっかりと注意・確認して書くことです。
  • 相続人の1人に限定して全財産を相続させる遺言を残した場合でも、相続人の最低限保証されている遺留分という問題が残ります。(このケースでは何も相続しなかった娘Bさん)
    ただし、必ずしも遺留分を請求するかどうかはその方(娘Bさん)の判断によります。

遺言書の保管の注意点

  1. 必ずしも封筒に入れて、封をする必要はありません。
    (封がある・なしに関わらず家庭裁判所の検認手続きが必要)
    相続が開始されて検認前に開封したとなると5万円以下の過料を請求される場合があります。
  2. 作成した遺言書は財産を相続させる人に預けることもできますし、ご家庭や書斎に保管しておくことも考えられます。
  3. 貸金庫も考えられますが、おすすめできません。
    理由としまして、相続が開始されると亡くなられた方の財産は相続人全員の共有財産となりますので、例外なく貸金庫も賃貸借の共有に属します。そして解錠するには相続人全員の協力がないと中身を取り出す事ができませんので、遺言書が取り出せないという事態になりかねません。

法務局に保管する場合

もし、自筆証書遺言を法務局に保管の申請をする場合は、次のルールを順守してくだい。
法務局に預ける場合には様式上のルールも守る必要があります。

①用紙サイズはA4サイズ
②上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側5mmの余白を確保する
③片面のみに記載
④各ページにページ番号を記載(1枚のときも1/1と記載)
⑤複数ページでも、とじ合わせない(封筒も不要)
⑥遺言書1通につき3,900円の手数料がかかる

遺言執行者の指定と公正証書遺言のすすめ

遺言書を残す最大の目的は、遺言作成者の意思の尊重と遺言書どおりの確実な執行にあります。

そこで、遺言執行者を遺言書の中で指定しておけば、不動産の名義変更や預貯金の払い戻し・解約手続きをスムーズに行えます。
この遺言執行者については別記事で紹介します。

ご自身での遺言作成に少しでも不安が残るようでしたら、公証役場で作る公正証書遺言がおすすめです。